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プロフェッツ・ロック来日セミナーを開催致しました

 2019年6月5日、プロフェッツ・ロックの醸造長ポール・プジョル来日を記念し、アジア・オセアニア最優秀ソムリエの岩田渉氏を交えて業界向けセミナーを開催致しました。

ブルゴーニュ、アルザス、オレゴンなどで経験を積んだポールのフィロソフィーは「畑の個性をピュアに表現するワイン造り」。発酵は畑由来の天然酵母で、ピジャージュは1回限りと、人的介入をなるべく排除した醸造を行っています。岩田氏からも「品種、畑、ヴィンテージのキャラクターが明確に表現されており、畑で育まれるブドウのキャラクターが100%トランスファーされている。」と評価。

岩田渉氏によるプロフェッツ・ロック テイスティング・コメント

①ピノ・グリ

アロマティックではあるが、良い意味で抑制が効いている。完熟したフルーツだけではなく、皮がピンとはりつめたジューシーなホワイトピーチに、若干フレッシュさを加えるマイヤーレモンのニュアンス。フルーツ以外では、コリアンダーやジンジャー、レモングラス、また同時にエスニック的なの要素を想わせるカリーパウダーなど、たくさんのスパイスが重なって感じられるエキゾチックな香り。独特なほのかなスモーキーなキャラクター、ハーブ、スパイス、フルーツ、ミネラル的な要素など、香りだけでも様々なディテールが感じられる。

ピノグリはアルザスとオレゴンが著名だが、アルザスではアルコールが高くリッチで芳醇なスタイルとなりがち。オレゴンでは、シトラス的なキャラクターが強くドライサイドになる。プロフェッツのピノ・グリにはどちらの良さも表れている。アタックは非常にソフトでなめらか。中盤から余韻にかけて、より温かみのある芳醇なフルーツやハニーなど、柔らかなテクスチャーが感じられる。このテクスチャーはアルザスを想わせるが、決してヘビーではない。

オフドライではあるが、驚くべきフレッシュな酸味が、このワインのストラクチャーを支えている。口の中をリフレッシュさせてくれる酸味がボディ自体を持ち上げ、持続的な酸が長い余韻を産んでいる。このレベルの高い酸がどこかオレゴンを想わせる。ポールのバックグラウンドを感じさせるピノグリだ。品種の特性もよく表れている。フェノールが含まれたピンクがかった果皮由来のほのかな苦味が心地よくワインを引き締めている。充実感がある。

②リースリング

決してフレッシュ&アロマティックなだけではない。鉱物的、ミネラル的な石っぽいキャラクターや、ゼスティなレモンやライムの皮を想わせるような柑橘系のアロマたっぷりのリースリング。リースリングは強烈な酸が品種特性の一つではあるが、一部の消費者にはこの刺すような鋭さが苦手な方もいる。

プロフェッツのリースリングは、一直線の伸びるような非常にのびやかな酸を持つ。セントラル・オタゴがもたらす日照量が影響し、熟した柑橘系のフルーツが酸のまわりに柔らかな羽衣をまとうようにバランス良く感じられるフレンドリーな味わい。スリムなストラクチャーでありながら、凛としたテンションを持ち合わせた高品質なリースリング。ピノ・ノワールが有名なセントラル・オタゴだが、このようなアロマティック品種、いわゆるアルザス系の品種が活躍するユニークな産地であることを感じさせられる。

③ロッキーポイント2017

土壌はシスト、石がごろごろ転がった畑。セントラル・オタゴでもヴィンテージの違いが間違いなく表れる。2017年はポールがワインを作った年で2番目に寒い年だったため、完熟した果実というよりは、もぎたての赤いフルーツのニュアンスが特徴。

香りはバラや赤い花、ほのかにジンジャーパウダーやオレンジピールなどの柑橘的なニュアンス。チャーミングな印象。味わいはフレッシュなフルーツをかみしめているような、ジューシーでいきいきとした酸。エナジーがある明るさが全面に表れたピノノワール。

④ホームヴィンヤード ピノノワール2014

⑤アンティポード2016

同じ畑のため、同じ方向性を向いている。畑の粘土とチョークの土壌。冷たいキャラクターを持つこの土壌では、成熟期間が長くなり果実はゆっくりと熟す。暖かい土壌で造られるピノノワールは甘いフルーツの香りが中心となるが、冷たい土壌では、フルーツ以外の香り、特にこのような生育期間が長い土壌では、セイボリーと言われる旨味を想わせる、食欲をそそるような、ハーブやタイムやセージの香りが表れてくる。

④⑤も共通し、ただフルーツだけではなく、複雑味のある様々な香りの層を産むセイボリーなキャラクターのワインである。⑤はココアパウダーのようなタンニン。レベルの高いナチュラルアシッドがボディをリフトアップし、つなぎ目のない味わいを構成している。

タンニン、酸、フルーツの凝縮感の3つが組み合わさることにより、味わいが多方面に広がるような満足感のある味わいに仕上がっている。2016年は温暖な年。さらに熟成させてみたい。④は年数経過が発展的な段階に入ってきている。味わい自体がインテグレードされ滑らかな味わい。アプローチのしやすさ、親しみやすさに優れている。タンニンもヴェルベットの様な質感。グラスワインとしてグラス一杯で楽しんでいただきたいお客様にお勧め。

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