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GRN Wine ConsultantGRNワインコンサルタント 岩田渉氏

ロルフ・ビンダー訪問記 vol.6

遂にオーストラリアを代表するワイン産地、バロッサ・ヴァレーにやって参りました。私自身は今回で3回目の訪問となりますが、いつ来ても沢山の学びや新しい発見、そして新しい造り手との出会いがあるので、飽きませんね!

今回はGRN社で取り扱っている、「ロルフ・ビンダー」に訪問して参りました。

こちらのワイナリーは2代目であります、ロルフ・ビンダー氏とその姉にあたるクリスタ・ディーンズ女史によって支えられている、家族経営の造り手です。

バロッサ・ヴァレーとイーデン・ヴァレーにおよそ120haもの畑を所有し、樹齢130年以上の貴重なブドウの樹々を有しております。

畑から醸造所までご案内くださったロルフさん
豊かな日差しが降り注ぐバロッサ・ヴァレーの畑

醸造もかなり伝統的でまさにクラシック・バロッサといっても過言でありません。基本的に赤ワインは弟のロルフ・ビンダー氏が、そして白ワインは姉のクリスタ・ディーンズ女史が担当しております。赤ワインの熟成についても、伝統的なアメリカンオークを使用するなど、時代や流行に流されない、己のワイン造りの信念を持ち合わせております。

バロッサ・ヴァレーに訪問する前は、同じ南オーストラリア州でも冷涼なアデレード・ヒルズや、海洋性の気候を受けるマクラーレン・ヴェイルを訪ねておりましたので、より内陸に位置する、この大陸性気候を持ち合わせるバロッサ・ヴァレーの日中の「暑さ」を肌身で感じて参りました。
訪問した際は2月の中旬ごろでしたが、日向へ出ると40度近くまで気温が上がり、出来上がるワインの凝縮感の高さは容易に想像できます。その中でも、過度なアルコール度数や過熟を避けるために、畑での仕事にものすごく注意を払っていると語ってくれました。ブドウには直射日光が当たらないように、キャノピーマネジメントを丁寧に行い、収穫の時期にもかなり気を使って毎年収穫しています。

種の色を確認しながら収穫期を見極めているそうです

ロルフ・ビンダーのように、バロッサに位置する造り手の多くは隣のGIであります、イーデン・ヴァレーにも畑を持っている生産者は少なくはありません。ここで少しこの二つの産地の比較を。

それぞれの産地ですが標高はバロッサ・ヴァレーが112-597m、そしてイーデン・ヴァレーが217-630mに位置しております。案外バロッサも標高が高いんだね、と思われた方も多いと思います。しかし全体の53%の畑は標高が280m以下に位置しており、比べてイーデン・ヴァレーになりますと99%以上の畑が280m以上に位置しております。
こういった点で、バロッサ・ヴァレーも夜間は気温が下がりますが、イーデン・ヴァレーのそれに比べたら暖かいため、ブドウは夜間でもゆっくりと成熟していきます。それに比べ、イーデン・ヴァレーは気温も一気に下がりますので、ブドウは酸度を保持するスタイルになります。日中の気温もバロッサ・ヴァレーと比べると平均して2-3℃ほど低く、夜間にすると5-7℃も差が出てくるとなると、隣に位置するGIでも、ここまで温度差に違いが出てくると必然的に同じシラーズを栽培したとしても、出来上がるワインの個性は如実に違いますよね?

ラベルに注目していただきますと、例えば右側の『RHB レゼルヴ シラーズ』は産地名が『Barossa』になっております。それに引き換え、左側の別のシラーズのラベルを見ると『Barossa Valley』になっているのはお分かりでしょうか?

これは『Barossa』とだけ表記されているときは、バロッサ・ヴァレーとイーデン・ヴァレーの二つのGIのブドウをブレンドしたことを意味します。それらの産地のシラーズをブレンドすることにより、お互いの個性を補い合い、より良いバランスに仕上げるために、採用されています。このように、バロッサ・ヴァレーでは隣のGIのイーデン・ヴァレーのブドウとブレンドして造る事は少なくはありません。

この RHB レゼルヴもその個性が遺憾なく発揮されたワインです。バロッサ特有の凝縮した、充実感ある味わいに、フレッシュでジューシーな酸味が加わることにより、味わいもより伸びやかになっております。このように、昔からこの産地でワイン造りを手掛けているからこそ、そういった産地のキャラクターを如実にワインに反映させることができるロルフ・ビンダー。ぜひ、皆様もバロッサ・ヴァレーのクラシカルな味わいをお楽しみください!

ワイナリーページ:ロルフ・ビンダー(南オーストラリア州 / バロッサ・ヴァレー)

ロルフさんと、オーストラリア在住のGRN社スタッフのマイクさんと
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