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GRN Wine ConsultantGRNワインコンサルタント 岩田渉氏

サイドウッド訪問記 vol.8

今回の訪問で最終回となりました。バロッサ・ヴァレーから戻り、またアデレード・ヒルズへ帰ってきました。最後に訪れたワイナリーは「サイドウッド」です。

さて、冷涼なアデレード・ヒルズを代表するこちらのワイナリーですが、我々が訪れた際に、新しい施設であります、ワイナリー・レストランがオープンしておりました。スタイリッシュでモダンな佇まいのこのレストランですが、サイドウッドのワインだけでなく、地元で取れたりんごを使って、樽から生シードルをグラスで飲むことができたりと、近所にあったら、毎週通ってしまいたくなるくらい、居心地の良い空間でした。


アデレード・ヒルズは産地の特徴として、標高の高さから(標高400~700m)、南オーストラリアの中でも非常に冷涼な気候を持っておりますが、アデレード市内へのアクセスの良さから(車で約20分の距離)、国内でも屈指のワインツーリズムが発展しているエリアでもあります。我々が訪問した際も、たくさんの訪問者の方々で賑わっており、ワインがこのエリアの大切な産業の一環として、重要な一部を占めております。

標高400~700mに位置するサイドウッドの自社畑。日差しは強いものの涼しい風が吹きます。


日本には未輸入ですが、訪問した当日、まずはスパークリングワインで出迎えてくれました。サイドウッドで造られるスパークリングワインは瓶内二次発酵で丁寧に造られた高品質なスパークリングワインで、ブラン・ドゥ・ブランからロゼのスパークリングワインまで様々な種類があります。単純にスティルワインだけでなく、このような複雑な味わいに富むスパークリングワインを生産することができるのもこの産地が持つ優位性です。

営業部長のスティーブさん
スパークリングワインがお出迎え

その他にも、ピノ・ノワールのクローン違いのワインをテイスティングしたりと、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

最後になりますが、今回のオーストラリア訪問を通じて、皆様にも忘れないでいて欲しいことがあります。まだ記憶にも新しい、2019~2020年に起きました、山火事です。オーストラリア国内でも深刻なダメージを受けたエリアの1つが、実はこのアデレード・ヒルズになります。車でこのエリアを走っていると無残にも焼け焦げた畑や森がその悲惨な光景を物語っておりました。造り手によっては所有していた畑がほぼ全焼してしまったところもあり、このサイドウッドですら例外ではありません。今回の渡航ですら「本当に行けるのであろうか?」と日本を出国する前は不安でした。

車で移動中に目にした火災の跡

幸運なことに、畑のほとんどは無事であったということを聞いて、ほっとしましたが、色々と大変な時期だったにも関わらず、優しく出迎えていただき、改めてワイナリーで従事する皆様の温かいホスピタリティに感動しました。

そういった被害を受けたエリアの皆様を少しでも支えるために、この自然災害を忘れることなく、引き続きその産地のワインを少しでも飲むことで、支援ができると思います。

オーストラリアの個性溢れる様々なワインはその国が持つ、自然豊かで、そしてときにはその自然が脅威になるような、雄大な環境のもとで造られていることを改めて実感することができました。

今後も一人のソムリエとして、この国が持つダイバーシティ溢れる、ユニークなワインをGRNの皆様と共に紹介し続けていきたいと思います。


ワイナリーページ:サイドウッド(南オーストラリア州 / アデレード・ヒルズ)


ピノ・ノワールのクローンの違いを解説するスティーブさん
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