前回のウッド・ストックの訪問に続き、同じマクラーレン・ヴェイルのワイナリーであります『ドッグ・リッジ』へ訪問して参りました。
こちらのワイナリーも家族経営の小さなブティック・ワイナリーです。
約36haの畑を持ち合わせ、オーストラリア国内でも一世を風靡した、酒精強化ワイン用に1940年代に植えられた、幹が太く、たくましく、そして勇ましい姿の貴重な古樹らが多くみられます。かつては馬と共に耕作しておりましたので、馬が通ることができるように、2mほど、ブドウの畝の間に広くスペースがとられている畑の姿を見ることができ、当時の栽培方法などを現在でも垣間見ることができます。
それらの畑を1992年に買収し、創設されたドッグ・リッジは現在2代目に当たるフレッド・ハワード氏がオーナー兼醸造家として活躍しております。
ワイナリーの名前はただ単純にワイナリーが畑を見下ろすことができるリッジ(=ridge 隆起した畝)に位置しているだけでなく、実はワイン業界でも少し有名な「Dog Ridge」という単語から直接来ています。
皆様は「フィロキセラ」という、かつてヨーロッパでブドウの樹々を壊滅させるまでに追いやった病害虫はご存知でしょうか?その対処法として、アメリカ系のブドウの樹の台木をヨーロッパのブドウに接木することにより、解決しましたが、このドッグリッジもブドウの台木として使用される多くの台木の1つであります。
現在ではもちろんフィロキセラの対策としてこれらの台木が使われているだけでなく、土壌のタイプや水捌けの具合などのバランスを見て様々な台木をセレクトして、使用されております。
少し話は外れてしまいましたが、このワイナリーの名前の由来はこの台木が奇妙なことに当時のオーナーに、ある種のイマジネーションを与えたことによるみたいで、台木の名前がそのままワイナリー名になっているのも非常にユニークで面白いですよね。
ドッグ・リッジのワインは「テキストブック=教科書」と言われるような、マクラーレン・ヴェイルのThe Sense of Placeを表したスタイルそのものです。
セント・ヴィンセント湾の涼しい風、そして日中の力強い日差し、これらがワインの味わいにもしっかりと表現されており、その素直なスタイルは飲み手に安心感を与えます。
例えば、Dog Ridge The Pup Sauvignon Blancも「Pup=子犬」という意味の可愛らしい名前がついたワインであり、このワイナリーのエントリーレベルのワインとして造られておりますが、このレンジのワインからでもしっかりとしたブドウの品種個性や産地のキャラクターを掴むことができます。
凝縮感の高さを思わせる、熟したレモンやパッションフルーツのアロマが心地よく、口に入れた瞬間に、口中から唾が出てくるような、刺激的な「マウスウォータリングな酸=mouth-watering」が活力感を与えてくれます。マクラーレン・ヴェイル特有のフルーツのしっかりとしたボリュームと、清らかな酸味が印象的な白ワインであります。
GRN社で扱っているPremiumレンジのワインも2,800円からと、かなりお手頃であり、より充実感と満足感に富むワインとなっております。
マクラーレン・ヴェイルの赤ワインは気持ち少し冷やして飲むと、その酸のフレッシュ感が増してきますので、おすすめであります。
これからの季節、BBQなど家族や友人の皆で一緒に楽しまれることが多いと思いますが、そんなシチュエーションにもぴったりです。是非、お楽しみください!
ワイナリーページ:ドッグ・リッジ(南オーストラリア州 / マクラーレン・ヴェイル)
コラム一覧へ戻る