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GRN Wine ConsultantGRNワインコンサルタント 岩田渉氏

ウッドストック訪問記 vol.3

第3回目の今回は、南オーストラリア州のワイナリーを紹介させていただきます。

GIマクラーレン・ヴェイルより『ウッド・ストック』ワイナリーです。

州都のアデレードより車で一時間ほど、南下したエリアでセント・ヴィンセント湾に面した、海の影響を強く受けるエリアであります。

南オーストラリア州であれば、『バロッサ・ヴァレー』などが有名な生産地でありますが、内陸に位置するそのエリアと比べると、こちらのマクラーレン・ヴェイルはその海風の影響を受けることにより、より涼しい産地となっております。

同じシラーズで造られたワインを比べてみても、そのスタイルは歴然であります。簡単にオーストラリアのシラーズと一括りにできないように、その産地の個性が溢れた素敵なワインが生まれています。

そんなマクラーレン・ヴェイルで1973年に創業されたのが、この『ウッド・ストック』です。「パイロット・ヴュー・シラーズ」というキュヴェがあるように、第二次世界大戦中、オーストラリア空軍で戦闘機のパイロットを務めていたダグ・コレット氏によって誕生しました。現在は息子であるスコット・コレット氏によって受け継がれ、今もなお、このエリアを代表する果実の凝縮感とその洗練されたスタイルによって国内外で多くの評価を得ております。

訪れたその日に、スコットさんによるブドウの畑への見学ツアーが行われました。見学用の古い輸送車のような車に乗り、ワイナリーの目の前に広がる、シラーズとカベルネ・ソーヴィニョンの畑へと案内していただきました。

先述したように、このマクラーレン・ヴェイルというエリアはセント・ヴィンセント湾の影響により海風という冷涼要素を持ち合わせていますが、海の影響は気候だけではありません。今世界的に注目されているこのエリアの特徴は「土壌」です。

この写真を見ていただいたらわかるように、さらさらとした砂質の土壌になっており、まるで海岸を歩いているような、キメの細かい砂に覆われております。

この地方でも温暖化の影響なのか、異常気象も多くなっていて、時よりゲリラ豪雨のような雨風に晒されることもありますが、このような砂質の土壌だと水が溜まることなく、地下へ流れていくので大きな利点がある反面、逆に雨が降らないような条件のときには、ブドウの樹にもかなりのストレスがかかったりする、とスコットさんは説明してくれました。

そういった厳しい環境で育っているシラーズやカベルネ・ソーヴィニョンを試飲した際も、砂と同じような質感(テクスチャー)がワインからも自然と感じられます。手で砂をすくったときに指の間からさらさらと砂が流れ落ちていくように、それらのワインを口に運んだときにも、充実した凝縮感がありながら、そのワインのテクスチャーは口中を緩やかに流れていき、「固さ」というよりは、さらりとするような「滑らかさ」を感じさせます。また涼しい気候の影響も受けておりますので、その酸の質も、どこか風のように爽やかで、心地よい印象を与えてくれます。

これこそまさに、この産地ならではの「The Sense of Place」であり、他の南オーストラリア州のエリアを探しても見つからない、唯一無二の個性です。

古木で造られるシラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンだけでなく、ジューシーで活力感に溢れるグルナッシュとテンプラニーリョのブレンドワインもおすすめでありますので、ぜひ気になった方は、このマクラーレン・ヴェイルの個性が詰まったウッド・ストックのワインをお試しください!

ワイナリーページ:ウッドストック(南オーストラリア州 / マクラーレン・ヴェイル)

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