\ほぼ灌漑も必要なし、自根のワイン畑/
タスマニアの豊かな原生林の中で生まれる
クールクライメットの賜物
醸造家 アンドリュー・トリオ
オーストラリア
生産者:オーバーストーリー
オーバーストーリー社が畑を購入し、2022年8月に出来たばかりのタスマニアワインブランド「スモール・ワンダー」。南緯41度、海抜50メートル、テイマー・ヴァレーのウェスタン・リッジに、ワイナリーは位置しています。1998年に植えられた20ヘクタールのブドウの木は、原生林の中にあり、テイマー川と、北のバス海峡から吹き付ける冷たい風の影響を受けており、ワインは、フレッシュさ、ディテール、快活さという、タスマニアの際立った特徴を表現しています。2020年に80ヘクタールのブドウ畑を新規に購入し、次いで近年、5ヘクタールの土地に新しくブドウの木を植えました。土壌の健全性を高め、被覆作物を植えるなど生物多様性を回復するための再生農法を採用し、ワイン畑はすでにACOオーガニック認証を取得しており、2024年ヴィンテージから、ワインもオーガニック認証を取得予定。収穫期には、糖分の熟度よりも風味と酸を優先して収穫するため、アルコール度数が低く、産地をより正確に表現したワインができています。
醸造家 アンドリュー・トリオ
西オーストラリア州で生まれ育ったアンドリューは、若い頃、ワイン醸造学の学位を取得し、ワイン造りへの情熱を固めるため、南オーストラリア州へと急いだ。その後、ニュージーランド、ドイツ、アメリカのワイナリーで働き、インターナショナルなワイン造りの視点を学びました。この間の最大の功績は、ワシントン州にあるトップクラスのブティック・ワイナリー、コーリス・エステートでの醸造長でした。2018年に故郷に戻り、2021年にオーバーストーリーに加わりました。アンドリューは、オーストラリアに戻り、妻と2人の幼い娘とともに自然と共にあるライフスタイルを楽しんでいます。
土壌:丘の頂上の灰色の砂は、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・グリといったアロマティックな白ワインに影響を与え、シャルドネとピノ・ノワールの畑は、灰色のシルト壌土から赤色のシルト壌土、フェリス泥岩へと緩やかに傾斜を下っています。まだ植樹されていない敷地の裏側には未開拓のポテンシャルがたくさんあり、この区画の粘土壌土はディテールと寛大さの両方をもたらす果実を生産することができ、今後さらなる素晴らしいワインの生産が期待されています。
また、灌漑もほとんど必要がなく、自根で植わっているオーストリアでも類まれなワイン畑です。
タスマニアという地域
タスマニアはオーストラリアの中で唯一島である州で、オーストラリア本土の南東部に位置しているワイン産地です。島の大きさは北海道より少し小さい程度。同緯度上に大都市が無いため空気が汚されておらず、世界で最も空気がきれいな島として有名です。また独自の生態系を持っており、ワラビーをはじめとしや多くの固有野生動物が生息しています。タスマニアワインはオーストラリアワインの生産のほんの1%しか占めておらず、いわずもがな数量よりクオリティーを重視したワイン産地となっております。その中のたった0.1%しか海外向けに生産されておらず、とても貴重なワインです
テイマー・ヴァレー
タスマニアには、島の北から南まで8つのワイン生産地域があります。北部のパイパーズ・リヴァーとテイマー・ヴァレーでは冷涼な気候を活かしたワイン造りが行われ、比較的温暖なコーラル・リヴァー・ヴァレーや南部のヒュオン・ヴァレーでは長い時間をかけてしっかりと熟したブドウを用いたワイン造りが行われています。
中でもテイマー・ヴァレーは、タスマニア州最大かつ最も重要なワイン産地であり、オーストラリア屈指のワイン産地でもあります。タスマニア州全体のワイン生産量の3分の1 以上を占め、何十ものワイナリーがさまざまなワインを生産しています。テイマー・ヴァレーの気候は、バス海峡からの海洋性の影響を大きく受けています。オーストラリア大陸からの偏西風は、海峡を渡る際に冷やされ、海峡に到着すると太陽で温められたブドウ畑を冷やします。この風と日照に加えて、川の南岸にある北向きの斜面が霜よけになり、このような気候条件は、特定の白ブドウ品種や高品質のスパークリングワインの生産に適しています。
テイマー・ヴァレーの鉄分を多く含む土壌は、ブドウの木にとって水はけのよい土台となっておりり、水は表土よりもむしろ地下に保持されるため、ブドウの木は水分を求めて地中深くまで成長せざるを得なく、これにより健康で強いブドウの木が育ち、多くの場合、灌漑の必要がなくなります。